女性は妊娠中から出産にかけて骨盤が開き、通常は産後しばらくして元の状態に戻るものですが、さまざまな要因から骨盤が歪んだままになってしまうことがあります。
歪んだままだとさまざまな身体の不調をもたらすため、これを改善しようと、産後に整体やサロンで骨盤矯正を受ける女性も少なくありません。
では、骨盤矯正は産後いつからおこなってもよいのか、また矯正するとなにが改善されるのか、などを解説いたします。
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産後に骨盤が歪む原因
女性は妊娠すると「リラキシン」というホルモンが分泌されます。これは、仙骨と腸骨をつなぐ仙腸関節、恥骨をつなぐ靭帯の恥骨結合をゆるめ、骨盤を開くはたらきがあります。
これにより、赤ちゃんが生まれるとき通りやすくなるように、産道を開く役割を果たすのです。
出産の際、赤ちゃんが通るために骨盤が大きく広がりますが、産後はリラキシンの作用が収まり、通常3~4ヶ月かけて、徐々にもとの骨盤の状態に戻っていきます。
しかし、このときに筋肉量が足りていないと、緩んだ関節や靱帯を元に戻す力が弱く、骨盤の位置を元に戻しにくくなってしまいます。
さらに、産後の育児で長時間座って抱っこしたり、無理な体勢で授乳したりといった習慣が続くと、骨盤が歪んだままになってしまうことがあります。
骨盤の歪みが引き起こす不調
骨盤が歪むと、つぎのような身体の不調を引き起こす可能性があります。
- 冷え性
- 疲れやすくなる
- 生理不順、生理痛の悪化
- 膝痛
- 股関節、恥骨の痛み
- 腰痛
- 尿漏れ
- 下痢、便秘
- 肌荒れ
- 下腹が出やすくなる
- O脚、X脚
- お尻が横に大きくなる
- 代謝の低下による肥満
このように身体の痛みや不調などつらい症状のほか、肌荒れや太りやすくなるなど、見た目を気にする女性にとっては受け入れがたい悪影響をもたらす可能性もあるのです。
産後の骨盤矯正はいつから受けられる?
骨盤矯正は、自然分娩であれば産後2ヶ月後以降、帝王切開であれば3ヶ月後以降がおすすめのタイミングです。
出産は母体の関節や筋肉などに大きなダメージを与えます。そのため、産後1~2ヶ月は体力を回復させる期間になっており、骨盤が不安定な状態です。
産後すぐ骨盤矯正をすると、この不安定な骨盤に刺激を与え、身体に負担がかかるおそれがあるため、身体が少し落ち着いてから受けるようにしてください。
いつまでに矯正するのがいい?
諸説ありますが、産後半年までは骨盤が柔らかいため骨盤矯正の効果を実感しやすく、半年を過ぎると骨盤が固まりだすため効果が得にくくなってしまうとされています。
そのため、体調と相談しつつ、できれば2ヶ月後以降~半年の間に矯正を開始するのがおすすめです。
ただし、半年を過ぎるとまったく効果がなくなるわけではありません。なるべく早い段階で、矯正が可能かどうか整体やサロンに相談してみてください。
産後に骨盤矯正を受けることで解消される主な悩み
骨盤に歪みがあると、前述のようなさまざまな不調が生じます。では、骨盤矯正を受けるとどのような悩みが解消されるのかをご紹介します。
腰痛
妊娠中は重いお腹を支えるために反り腰になったり、また産後に赤ちゃんを抱っこする際など腰に負担が掛かったりします。
これにより骨盤が歪み、筋肉や関節にかかる負荷がうまく分散されなくなり、腰痛を引き起こしてしまうのです。
しかし、骨盤矯正をすれば筋肉のバランスが整い、腰への負荷が軽減されるため、腰痛を改善する効果に期待できます。
尿漏れ
妊娠や出産を経ると、日常のちょっとした動作で自分の意思と関係なく尿漏れをしてしまう方も少なくありません。
骨盤の底にある骨盤底筋が弱まると、支えていた内臓が下がり、内臓が膀胱や腸を圧迫してしまうため、尿漏れを引き起こすのです。
この骨盤底筋を鍛えることで、尿漏れの改善も期待できます。
体型戻し
骨盤が開いたままだとお尻が横に広がり、下半身が大きくなったり、胃や腸など内臓が下垂しやすい状態となって下腹が出たり、なかなか元の体型に戻らない場合があります。
また、内臓機能が低下して血流やリンパの流れも悪くなるため、代謝が悪化して体重も落ちにくくなることがあります。
骨盤を元に戻せば下半身の歪みや内臓の位置がもとに戻るため、体型を元に戻す効果もあります。
自分でできる骨盤矯正は?
骨盤矯正というと整体やサロンでやってもらうもの、というイメージがあるかもしれませんが、自分でできる矯正方法もあります。
自分でできる方法としては、骨盤ベルトやガードルを使うようにしたり、無理のない範囲でストレッチをしたり、などが挙げられます。それぞれ詳しく解説いたします。
骨盤ベルト・ガードル
骨盤ベルトやガードルは、着用するだけで骨盤のゆるみや歪み、開きを矯正できます。骨盤ベルトでは「トコちゃんベルト」が有名です。
産後用のガードルは、産後1ヶ月ごろを目安に、体調が安定してから着け始めるのをおすすめします。
これらを着用すると骨盤が締まり、歩きやすくなるなどの効果はありますが、ずっと着用していればいいわけではありません。
頼りすぎると筋肉が育たず、また締め付けることで血流が悪化して体を冷やしたり、外した瞬間に下腹が飛び出してしまう、ということもあります。
そのため、あくまで補助具として使う程度にし、ずっと着けっぱなし、頼りっぱなしにしないようにすることも重要です。
ストレッチ
ストレッチは硬くなった筋肉を柔らかくし、鍛えることができるため、緩んだ関節や靱帯を元に戻す力を促進する効果があります。
家でできる骨盤矯正のストレッチ方法は次のとおりです。体調がよいとき、無理のない範囲でやってみてください。
- 仰向けに寝て、頭上で両腕を交差させます。
- 腰を伸ばしたり、上下させて骨盤を動かし、左脚が引っ張られているとイメージしながら伸ばします。
- 右側も同様におこないます。左右交互に10回ほど実施してください。
- 両手の力を抜き、片方に腰をひねって10秒キープします。
※この際、肩や背中が浮かないようにしてください。反対側も同様におこないます。
- 横向きに寝て、上側の手で骨盤を押さえます。
- 上側の足を上にあげていきます。
- 反対側も同様におこないます。
- 仰向けになって両足の裏を合わせ(背中や足が浮かないように)、30秒ほどキープします。
- その後、足を外側へ曲げてWの字になるようにします。
このときも足が浮かないようにしてください。30秒キープしてから足を元に戻します。 - つづいて、仰向けの状態で左脚を折って少し崩します。
- 息を吐きつつ骨盤を伸ばすイメージで、鼠径部や太ももの前を伸ばします。
- 右脚も同様におこないます。
まとめ
産後の骨盤矯正をいつからはじめればよいのかについて、自然分娩であれば産後2ヶ月後以降、帝王切開であれば3ヶ月後以降であるとご紹介しました。
また、産後半年が経過するまでに骨盤矯正をおこなうと効果を実感しやすいため、体調と相談しつつ、それまでに矯正するとよいでしょう。
産後に骨盤が歪んだまま固まってしまうと、さまざまな身体の不調や太りやすくなること、脚も歪んでしまうなど、身体的にも、精神的にも悪い影響を与えてしまいます。
骨盤を元の状態に戻すためにも、ご紹介した自分でできる骨盤矯正を習慣にしたり、整体やサロンで施術を受けたりしてみてはいかがでしょうか。