四十肩・五十肩とは?原因や症状と対処法

40代、50代になって肩に痛みが出たり、腕が上がらなくなったりして、これが四十肩(五十肩)なのだろうと感じることがあるかもしれません。

じつは、四十肩や五十肩は、肩の関節や腕の痛みの原因でもっとも多いとされる不調です。名前からして加齢によるものと思われがちですが、20代や30代でもなる場合があります。

では、一体なにが原因でなってしまうのでしょうか。そもそも四十肩や五十肩とはなにか、その対処法などとあわせて解説いたします。

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目次

四十肩・五十肩とは

四十肩・五十肩とは、40~50代を中心に発症する人の多い、肩関節の痛みや腕が上がらない、手が後ろに回らない、などの症状がある状態をいいます。

四十肩や五十肩は正式な病名ではなく、中高年が発症しやすいために呼ばれている俗称です。医学的には『肩関節周囲炎』と総称とされます。

50代で発症することが多いため「五十肩」と呼ばれていましたが、最近は40代での発症も増え「四十肩」とも呼びます。年齢で呼び分けられているだけであり、両者に違いはありません。

患者の割合データ

一般人口の1~10%が発症するといわれており、両肩に発症するケースはそのうち20%、女性の患者では利き手ではない側に出るケースがやや多いです。

糖尿病の患者の10~30%が併発するともいわれており、糖尿病との関連性が高い可能性もあります。

四十肩・五十肩ではないケースも

40~50代で肩の痛みや腕が上がらないなどの症状が出ると、やはり四十肩・五十肩だろう、と自己判断してしまう方は多いかもしれません。

しかし中高年の場合、肩の「腱板断裂」である場合も考えられます。これは国内で推定約600万人の患者がいるとされる病気であり、自然治癒せず放置すると悪化するという特徴があります。

四十肩や五十肩なら放っておけば治るだろう、と放置しているとさらに悪い状態になる場合があるため、肩の痛みが続く場合は医療機関で診てもらうのがおすすめです。

四十肩・五十肩の原因

四十肩・五十肩の原因は、肩関節周辺の組織が炎症を起こすためといわれていますが、その起こりやすい場所が「腱板」です。

腱板が損傷を起こし、炎症すると関節を包む「関節包」の全体まで炎症が進み、損傷してしまいます。

これは、加齢によって筋肉や腱の柔軟性が失われて、スムーズに動かなくなるためとされますが、明確な原因は分かっていません。

ただ、腕を上に上げた状態で長時間続けて作業したあとなどに、発症しやすいといわれています。

四十肩・五十肩の症状

四十肩・五十肩は発症してすぐの状態を「急性期」、少し落ち着いてくる「慢性期」、治りかけの「回復期」に分類でき、それぞれ約数ヶ月~半年ずつ継続します。

発症から治るまで数週間~1年半、病期は全体で約1~3年といわれており、痛みの度合いや状態はこの期間により異なるため、それぞれの期間での症状について解説いたします。

急性期

急性期は症状が出たばかりの時期をいい、数週間~数ヶ月間続く場合が多いです。

はじめは肩に鈍い痛みを感じる程度ですが、徐々に痛みが強くなり、ズキズキとした痛みに変わっていきます。何の前触れもなく鋭い痛みが発生する場合もあります。

肩を中心に腕全体や指先までしびれるように痛み、服の着脱や家事など、大きく肩を動かす動作をした際に激しい痛みが生じやすいです。
さらに悪化してしまうと、安静にしていても痛みが消えず、またとくに夜間に痛みが増すため、夜眠れなくなってしまう場合もあります。

慢性期

慢性期は急性期から時間が経過した状態で、このころになると安静時や夜間の痛みは和らぎ、痛いと感じないときもあるかもしれません。

しかし、腕を前にまっすぐ伸ばしつつ直角に上げると、急性期のときと同様に激しい痛みが生じます。

また、これまで激しい痛みがあったことで自然と肩を動かさなくなり、筋肉が引きつれ、収縮して硬くなってしまうため、肩関節の可動域が狭くなってしまいます。

関節が硬くなり動きにくくなることから「拘縮期」ともいいます。この時期にもっとも腕が上がらないと感じられることでしょう。

回復期

慢性期を経ると肩関節拘縮が改善して肩の可動域が広がり、以前より腕が上げられるようになる、回復期を迎えます。

痛みも徐々に解消され、肩や腕を動かす際の違和感や痛みがなくなれば、完治したといえます。

ただし、適切な治療を受けたり状態を改善したりしないと、慢性期のまま長期間苦しむ場合もあるため、長引く痛みは医療機関や整体で相談されるとよいでしょう。

なかには、回復期に移行しても後遺症として痛みや拘縮が残るケースもあるため、この場合も治療が必要です。

四十肩・五十肩になったときの対処法


では、四十肩・五十肩になってしまったと考えられるとき、どう対処すればよいのか、急性期と慢性期の場合とに分けて対処法をご紹介いたします。

急性期

強い炎症症状が出る段階のため、湿布を貼ったり、氷で冷やしたりして炎症を抑えます(冷やし過ぎに注意)。痛みがつらい場合、市販の鎮痛薬を服用するのもよいでしょう。

重い荷物をもつ、運動をするなど、無理をして肩を動かすと炎症が広がってしまうため、厳禁です。できるだけ安静に過ごしてください。

夜に痛みが強くなりやすい時期のため、その際は肩の下に枕やタオルを入れ、肩の高さを調整すると少し痛みが和らぎます。

慢性期

急性期の鋭い痛みが落ち着いてきたら、鈍い痛みや筋肉が突っ張る感じに変わってくることでしょう。

慢性期は、ぬるめのお湯につかったり、使い捨てカイロや温感湿布を当てたりして、肩を冷やさないようにすることが重要です。

睡眠中は、筋肉の動きが少なく、体が冷えやすいです。肩関節が冷えると痛みが強くなりやすいため、肩が布団から出ないように、毛布を掛けるなどするとよいでしょう。

また、急性期から引き続き肩関節の可動域が狭くなっており、痛いからといって動かさずにいると、さらに関節が固まります。無理のない範囲で関節を動かすようにしてください。

筋肉が硬い状態で動かすと痛みやすいため、お風呂上がりなど身体が温まった状態で軽いストレッチや運動をするとよいでしょう。

まとめ

四十肩・五十肩の原因は、肩関節周辺の組織、腱板などが炎症を起こし、関節包の全体まで損傷することで起こりやすいと解説しました。

加齢や肩を長時間酷使することなどで引き起こされると考えられていますが、若年層でも発症する場合があり、はっきりとした原因は定かではありません。

40代、50代で肩の痛みにお悩みの方は、四十肩や五十肩の可能性もありますが、自然治癒しない「腱板断裂」の可能性もあるため、長引くようであれば診てもらうことをおすすめします。

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